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最後の言葉

その日のはなは朝からちょっと変だった。
「ヘン」って言っても呼吸が荒いとか意識がもうろうとしているって意味じゃない。

毎朝、5時頃に家を出る夫が「おはよう」って顔を覗き込んだ時もぱっちりと意志のある目でまじまじと彼の顔を見つめていたそうだ。いつもは半分まどろんだまま、おぼろげな意識の中で朝を待っているはななのに・・・。
「今日は調子がいいのかな」って思わず嬉しくなるような表情で夫を目で追っていたと後で聞いた。

昼間も時間をおいて数回「ワン」と一声、吠えたのだった。久し振りに聞いたはなの声。か細く消え入るような声だったけど、苦しくて出した声ではなかった。明らかに意志を持って私を呼んだ声だった。
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今なら分かる・・・。あれは「ワタシ、モウイカナクチャ」って言ったんだよね。
もう引き止めるのは止めようと決心した私の心の中にくすぶる「イヤダ、マダハナレタクナイ」って気持ちをくすぶったままにしない為の「モウイカナクチャ」だったんだよね。

今なら分かるよ。
「ワン」って私を呼んで、「な~に」と覗き込んだ私の顔をキラキラと光る目でしげしげと眺め大きな呼吸をふたつして旅立ったね。
本当に本当に見事な最後だった。

頼りない私だったけど、最後のその時まであなたの導きに必死についていった事だけはちょっと褒めて欲しいなぁと時々思うんだ。
「ねぇ、はーちゃん、どこかで聞いているでしょ」そう心の中でつぶやく冬の夜中の独り言。

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