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はなとメラノーマ

はながメラノーマだと気が付かなければ「もう少しで14歳なんだし、おばあちゃん犬ってこんな感じなんだろうなぁ」と何か大きな異変が起きるまで暢気に毎日を過ごしていたんだと思う。確かに去年の今頃はもっと元気だった。すずにちょっかいも出していたし、目を離すとイタズラもしていた。

でも、今の状態も14歳間近だと思えばそんなに悪くはないと思うんだ。
確実に衰えてきてはいるけれど、食欲もあるし足腰だって小走りぐらいならまだできる。
耳は遠くなっているけど、うっすら白内障っぽい目でも庭を横切る猫やカラスを発見するのはすずより早いくらいだもの。「Wan!」って声だってまだまだ迫力あるし。
日長一日寝ているけれど、お客様にはお愛想だって振りまける。
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そう楽観的に考えればいくらでもプラスポイントは見つけられる。

でも、本当は確実に進行している憎たらしいメラノーマ。こうしている間にもはなの体の中で増殖を続けているのだろう。寝ている時の彼女の姿はまるで細胞の一つ一つに生きるためのエネルギーを送り込んでいるかのようで、深い眠りにつくその姿は静かな迫力にさえ満ちている。
はなの右側の頬がここ1ヶ月でぷっくりと腫れてきた。昨日のレントゲン検査でも眼窩の骨への浸潤が少しだけど進んでいるのが確認できた。肺にもうっすらと牡丹雪みたいな淡い影が写っていた。1ヶ月前にも同じ位置に写っていたその淡い影は少し大きくなっているように見えた。転移でないとは言い切れない。他にも気になる点をいくつか抱えている。

そして、患部の一番近くにあった歯が抜けてしまった。
先生がグラグラしているのに気が付いて、麻酔をしなくても大丈夫な位の処置で取れてしまった。
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多分、一番始めに歯槽骨へ浸潤したから歯を支える土台がもう溶けてしまっているって事。「持って帰りたい・・・」って言ったら先生がキレイに洗ってくれた。

手術もしていない、抗癌剤も放射線治療も行わない。「QOL」を第一優先に出来る限りの事をしていこうって決めた時点で癌が消えてなくなるなんて事はないと分かっている。プラス思考は魔法でもなんでもないって事も痛いほどよく分かっている。
それでも私は「おばあちゃんでも出来る事」を数えて喜びに変えていこうと思う。

本当はこれからどんな苦しみがはなを襲うのだろうと考えると不安で胸が張り裂けそうになる。他に出来る事はないかともがいてしまう。でもはなは昨日を懐かしむでもなく、明日を憂うわけでもなく、間違いなく「今日」を精一杯に生きている。悲観して涙に暮れてばかりいたら、それこそ本当に憎い「あいつ」の思うつぼ。はなを痛みや苦しみから遠ざけることを第一に考えて、後は毎日を笑って穏やかに過ごそう。
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おはな様が最期のその時まで頑固で気高いおはな様でいられれば、その時初めて私達は病を「乗り越えた」って胸を張って言えると思うから。
ね、そうだよね、はな

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