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天使がくれたもの

私が20歳の頃に90歳代で亡くなった父方の祖父は熱心なクリスチャン(プロテスタント)でした。長く日本を離れて暮らしていた私達家族はなかなか会う機会がありませんでした。時折届く、宛名を誰かに書いて貰ったエアメールには、いつも満開の桜や鉢植えのシクラメンなど植物の写真が同封されているのです。そして私達は「花の写真じゃなくておじいちゃんの写真だったらいいのにねぇ」と笑うのがお決まりでした。
Xmas_3

明治生まれの祖父がクリスチャンになったのは、まだ若かった彼が床屋さんの待合室で見慣れない本を手に取ったのがきっかけでした。「刑期を終え出所したばかりの男性が散髪代の代わりにと置いていったんだよ」と床屋のご主人が答えたその本は聖書だったのです。これを機に祖父は信仰と伝道に捧げる人生を送ることになるのです。話としては興味深いのですが、家族は経済的な事も含めとても苦労したようです。
病にふしていた祖父は、一時退院する毎に帰国して間もない私達家族の家で過ごしました。植物がとても好きだった祖父は父に支えられながらベランダに咲く草花を「きれいだねぇ」と眺め、一緒に囲む食卓ではいつになく箸が進み幸せそうに見えました。
Angel

祖父と私しか家にいなかったある日のことです。
ふと気がつくと祖父は横になったまましきりに片手で空を掴む様な仕草をしているのです。「おじいちゃん、何かいるの?」と聞く私に祖父はこう言いました。「天使だよ。天使が笛を吹いて飛んでいるんだよ。あんたには見えないのかい?」
その時の私は動揺を隠して「ああ、本当だねぇ、おじいちゃん」と答えるのが精一杯でした。

Photo でも、今ならもう少し気持ちを込めて「本当だねぇ」と言ってあげられるのにと時々思い出すのです。小柄で華奢な体のわりにはごつごつと節くれ立った手で掴もうとしていたのは、彼が多くを犠牲にしてでも歩んで来たかった人生のそのものだったのでしょう。
「信じる者は救われる」という言葉が意味する真意は私には分かりません。「信じなくちゃ救われないの?」なんてへそ曲がりの私は思ったりもします。でも生涯をかけて信じていけることが何か1つでもあれば人は強くなれるということを、それから程なくして亡くなった祖父は私に身をもって教えてくれたのでした。
今の年齢になって、祖父が人生の最後に見た天使の意味を時々考えるのです。
答えはなかなか見つからないけれど・・・。

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